【成り立ち・意味】「鳥」のしっぽは長い?短い?【漢字】

f:id:nao-yamamoto:20200223115256p:plain

とり・チョウ
11画 / 鳥部 / 象形
①とり。鳥類の総称。
②鳥のように人や物が集まること。「鳥集」

 

「鳥」の成り立ち

「鳥」の古代文字

f:id:nao-yamamoto:20200223153650j:plain

「鳥」は、羽をたたんだ鳥を描いた図形。なかでもしっぽが長く、垂れさがっているものをあらわしました。古代文字でみると、上からくちばし、羽、しっぽ、あし(爪)がとても分かりやすく描き分けられています。

これに当てはめると、いまの漢字で「れっか」のようになっている部分があし、それを囲っている部分がしっぽでしょう。くちばしは一画目の「てん」となっています。なぜ、あしが急に「灬」と4点になったのかははっきりしていません。しかし、「魚」や「馬」など、ほかの動物の漢字とそろえたのではないかと考えられています。

「鳥」にある意味

このように「鳥」は、鳥の形をそのままあらわしたことから《とり》の意味で用いられました。当初はしっぽが長い鳥だけを指していましたが、その後、鳥類全体を指す漢字として使われ、今日に至ります。「鳥獣」や「鳥類」などがそう。

このほか「文鳥」や「椋鳥むくどり」「乙鳥つばめ」「百舌鳥もず」「啄木鳥きつつき」など、鳥類をあらわす多くのことばに「鳥」は使用されています。

《とり》の意味を使用した例
鳥冠とさか」にわとりの 
「鳥居」神社の 。鳥の居場所という意味から。
「鳥瞰」(鳥のように)上から物を見ること。
「鳥葬」ゾロアスター教の鳥に死体を食わせる葬儀。

「隹」とのちがい

同じく、《とり》を意味する漢字に「スウ」があります。こちらは、「鳥」に対してしっぽが短く、ずんぐりとした鳥を描いた図形です。現在では「ふるとり」と呼ばれるのが一般的で、部首にもなっています。

今日では、これを使用した漢字として「はやぶさ」や「雀」の字が有名でしょう。ずんぐりとした「雛」の字にも使用されています。「雁」も同様。

以前はしっぽが長い鳥を「鳥」、短い鳥を「隹」がそれぞれ担当していましたが、そのうち「鳥」が鳥類全体を指すようになったため、そのような使い分けはうやむやとなりました。なので、現在ではこの2つの漢字に明確な違いはなく、どちらも鳥全般をあらわすものとなっています。

尾が長い「鶏」に対して「にわとり」の字がある点からもそれはうかがえるでしょう。

日本の国鳥、雉。
こちらも「隹」に反しとてもしっぽが長い。

f:id:nao-yamamoto:20200223160848j:plain

 

「鳥」の部首

f:id:nao-yamamoto:20200223142840p:plain

「鳥」の部首は「鳥」です。
「鳥部」は鳥に関することをあらわす部首です。「鳥」のほかには、「鶏」や「鶴」などがあります。もちろんしっぽの短い「鳩」や「鴨」もこれにあたります。

参考資料

  • 落合淳思『漢字の字形』2019年、中央公論新社。
  • 加納喜光『動物の漢字語源辞典』2007年、東京堂出版。
  • 白川静『常用字解第二版』2003年、平凡社
  • 戸川芳郎『全訳漢辞海第四版』2000年、三省堂。
  • 藤堂明保『学研漢和大辞典』1978年、学習研究社。
  • 藤堂明保『漢字の話上』1986年、朝日新聞社。
  • 『大漢和辞典』
  • 『広漢和辞典
  • キジ - Wikipedia
  • 鳥 | 漢字一字 | 漢字ペディア

【意味・成り立ち】「芳」は花の香りが広がっている!【漢字】

f:id:nao-yamamoto:20200220100901p:plain

ホウ・かんばしい・かおり・かぐわしい
7画 / 艸・艹部 / 会意形声
①かおり。四方に広がるよい匂い。
②かんばしい。香りがよい。
③かんばしい。美人をたとえること。
④物事が自分の思うとおりに行っている。
⑤相手に敬意をあらわすことば。「芳志」

 

ここでは「芳」の成り立ちと意味について見ていくよ。

「かんばしい」ってどういう意味なん?

 

 

「芳」の意味と成り立ち

「芳」は「くさかんむり」と「方」という2つの漢字から成り立っています。「艹」は植物に関することを指す記号です。ここでは特に《花》をあらわすために使われています。「方」は、持ち手が下の図のようになっているすきを描いた図形で、これが四方に伸びていることから《広がる》というイメージを持っています。


f:id:nao-yamamoto:20200220102246j:plain

これにより「芳」は、花から四方に広がる《かおり》、またよいかおりをいう《かんばしい》などの意味で用いられました。

現在では、花の香りにのみ使うなどの制約はなく、様々なものの香りを示します。例えば「芳醇ホウジュン」。食パンに同名商品がありますが、こちらはもとお酒などの香りが良いことをあらわす言葉でした。このほか、香りのよい酒をいう「芳醑ホウショ」や「芳醪ホウロウ」、甘酒を指す「芳醴ホウレイ」、酒樽をのことである「芳樽ホウソン」という具合に「芳」はお酒に関連する言葉に多く使われています。昔の人々は、よほどお酒の香りが好きだったのでしょうか。

また、「芳」には《美人》の女性を指す意味があり、「芳姿」や「芳紀」など一部例が見られます。おそらく、花の香りと女性の色香をかけあらわせた意味であると考えられます。しかし、こちらはやや特殊であるため、今日ではほぼ、使用されていません。

《かんばしい》などの意味を使用した例

「芳香」よいかおり。
「芳芬」よいかおり。
「芳艶」草花のかおりがよく、美しいこと。
「衆芳」多くのよいかおりの花。

「芳」にはもうひとつ、別の使い方があります。それが《状況がよい》《思うとおりにいく》というもの。通常は「芳しい」と表記されるこの意味ですが、実は日本独自の用法です。日本でしか使われていません。

ビジネス面でよく見られ、「状況が芳しくない」や「仕事が芳しくない」のように用います。普段の生活でも「体調が芳しくない」や「芳しい成績が得られない」と使うことがままあるといえるでしょう。

これらの例からもわかる通り、この意味は何故か、否定の形で使われることがほとんどとなっています。「体調が芳しい」のようには使いません。そして、その理由はわかっていません。

近い意味の漢字

「香」製作中

 

 

「芳」の部首は「艹」

f:id:nao-yamamoto:20200220100927p:plain

「芳」の部首は「艹」。「艸・艹」は草や木など植物に関することをあらわす部首です。「芳」では《花》をあらわすために使用されています。

 

参考資料

用途で変わる「鍬(くわ)」の種類と使い方[AGRI PICK]

etc.

当ブログに記載されている内容は、辞書や文献、資料などに遵守し学術的な配慮を十分にしているものですが、万が一誤りがあった場合は早急にご連絡ください。 確認を取ったうえで速やかに訂正させていただきます。 宜しくお願い致します。

【意味・成り立ち】「花」は姿をころころ変化させる部分!【漢字】

f:id:nao-yamamoto:20200219090959p:plain

カ・・はな
7画 / 艸・艹部 / 会意形声
①はな。植物のはな。
②はな。はなのようなもの。きれいなもの。
③はなの形をした模様。
④さまざまな色や形が入り混じった模様。
⑤美しく派手なもの。盛り。
⑥はな。日本では特に桜のこと。
⑦はな。中国では特に牡丹のこと。

 

ここでは「花」の成り立ちと意味について見ていくよ。

確かに日本で花といえば桜だなぁ

 

 

「花」の意味と成り立ち

「花」は「くさかんむり」と「化」という2つの漢字から成り立っています。「艹」は植物に関することを示す記号です。「化」は、左側(亻)が普通に立っている人を、右側(匕)が倒れて死んでいる人を、それぞれ描いた図形。ために、人間の生から死への《変化》を意味しています。これにより「花」は、植物の中でも姿がすぐに変化してしまう部分《はな》をあらわしました。

この意味は、今日では「沈丁花チンチョウゲ」や「紫陽花あじさい」など花の名称にはもちろん、「花瓶」や「花壇」といった、花に関する物事に使用されています。

また、字を崩したサインをいう「花押」では、「花」を《はなのような模様》の意で使用しており、花に似ているものを指しています。このような例は「花火」や「氷花」など身近な言葉にもみられ、《はなのようなもの》という漠然とした意味となっています。「両手に花」とは、花のように美しい女性に囲まれていること。

豊臣秀吉の花押
f:id:nao-yamamoto:20200219110947p:plain

ちなみに、「花魁カカイ」とは、梅の花のことで、春にほかの花にさきがけて咲くことに由来しています。「花魁おいらん」と読ませて、遊女のことを指すのは、日本独自の使い方です。

《はな》などの意味を使用した例

「丸花蜂」花から花へ飛んでいる様子から。
「虫媒花」虫に花粉を運んでもらう花。
「花王」牡丹のこと。
「花顔」はなのように美しい顔立ち。
花衫カサンはなのような模様のある下着。

「今が花」や「花形役者」のように、「花」を《派手なもの》や《盛り》の意味で使用するのも、同じく日本独自の例。花が咲いているときが、最も派手で、盛っていることから来ている意味であると考えられます。「花々しい」「花やか」もこれにあたりますが、これは「華々しい」「華やか」と書く方が一般的でしょう。

相手に功を譲り「花を持たせる」や話に「花が咲く」も、これらと同じ意味です。それぞれ「名誉を譲る」「話が盛る」と言い換えることができます。こちらは「持たせる」や「咲く」という言葉がついており、本来の「花」の用法に近い分、わかりやすいかもしれません。

余談ですが、歌舞伎で「花形」となる役者が通る道のことを「花道」といいます。これは後に、観客の間を通る道の意で使用されるようになりました。なので、結婚式場で花道を通る嫁を「花嫁」と呼ぶようになったそうです。(諸説あり)

《派手なもの》などの意味を使用した例

「花を添える」派手さを加えること。
「一花咲かせる」一時華やかに盛ること。

近い意味の漢字

「華」製作中
「英」製作中

 

 

「花」の部首は「艹」

f:id:nao-yamamoto:20200219091205p:plain

「花」の部首は「艹」。「艸・艹」は草や木など植物に関することをあらわす部首です。「花」では〈植物〉に関することをあらわすために使用されています。

 

参考資料

花押 - Wikipedia

etc.

当ブログに記載されている内容は、辞書や文献、資料などに遵守し学術的な配慮を十分にしているものですが、万が一誤りがあった場合は早急にご連絡ください。 確認を取ったうえで速やかに訂正させていただきます。 宜しくお願い致します。

【意味・成り立ち】「芝」はもともときのこだった?【漢字】

f:id:nao-yamamoto:20200218094605p:plain

シ・しば
6画 / 艸・艹部 / 会意形声
①霊芝。マンネンタケ。きのこの一種。
②しば。イネ科の多年草。
③道端にはえている雑草の総称。

 

ここでは「芝」の成り立ちと意味について見ていくよ。

霊芝…知らない…

 

 

「芝」の意味と成り立ち

「芝」はもともと、霊芝レイシというきのこをあらわす漢字として使用されていました。

霊芝とは、マンネンタケともいわれ、古代中国では食べれば不死身になれるとされた神草です。傘が非常に大きいのが特徴で、古来より漢方薬として使用されていました。大変希少なものであったことから、発見されると、瑞兆(いいことが起きる前触れ)の目印として扱われていたといいます。

霊芝
f:id:nao-yamamoto:20200218110539j:plain

そして「芝」は、この霊芝を意味する漢字としてつくられたのです。「芝」は「くさかんむり」と「之」という2つの漢字から成り立っています。「艹」は植物であることを示す記号です。「之」は、足先が進み出ている様子をあらわした漢字で、《ぐんぐん進む》というイメージをもっています。ここでは、植物の生長がぐんぐん進む、つまりぐんぐん伸びていることをあらわしています。これにより「芝」は傘がぐんぐんと伸びるきのこ《霊芝》をあらわしました。

現代の生物学上では、植物とキノコ類は別系統の生き物であるとされいます。しかし、かつては「きのこ」の字に「艹」がついているように、キノコ類も植物のひとつであると考えられていました。なので《霊芝》を意味する「芝」に、「艹」があってもなんら、不思議なことはありません。

《霊芝》の意味を使用した例

「芝英」霊芝の花。
「芝菌」ヒジリダケ。霊芝のこと。
「芝雲」めでたいことの目印となる雲。

今日では、「芝」は《しば》というイネ科の植物をあらわすために使用されますが、これは日本独自の用法です。おそらく、しばを意味する漢字がなかったために、「芝」の字がこれに当てられたものと考えられます。ために、日本では「芝生」や「芝草」のように、《しば》の意味のほうが主流となっています。むしろ《霊芝》の意味はほぼ知られていないといえるでしょう。

ちなみに「芝居」に「芝」の字が用いられているのは、かつて芝生がある広場で、よく演劇が行われていたことに由来するそうです。

しば(芝生)
f:id:nao-yamamoto:20200218114337j:plain

《しば》の意味を使用した例

「芝桜」しばのように地をはう桜。
「芝山」しばを植えこんだ築山。

近い意味の漢字

「柴」製作中

 

 

「芝」の部首は「艹」

f:id:nao-yamamoto:20200218094622p:plain

「芝」の部首は「艹」。「艸・艹」は草や木など植物に関することをあらわす部首です。「芝」ではキノコ類が〈植物〉であることをあらわすために使用されています。

 

参考資料

霊芝の歴史や栽培方法と煎じ方/霊芝の上薬研究所
霊芝 - Wikipedia

etc.

当ブログに記載されている内容は、辞書や文献、資料などに遵守し学術的な配慮を十分にしているものですが、万が一誤りがあった場合は早急にご連絡ください。 確認を取ったうえで速やかに訂正させていただきます。 宜しくお願い致します。

【意味・成り立ち】「芋」とはまるい植物のこと!【漢字】

f:id:nao-yamamoto:20200217094437p:plain

ウ・いも・さといも
6画 / 艸・艹部 / 会意形声
①いも。イモ類の総称。里芋。

 

ここでは「芋」の成り立ちと意味について見ていくよ。

「于」ってなんだ?

 

 

「芋」の意味と成り立ち

「芋」は「くさかんむり」と「」という2つの漢字から成り立っています。「艹」は植物であることを示す記号です。また「于」は、ゆるく曲がった刃を描いた図形で、《ゆるく曲がる》や《まるい》という意味をもっています。これにより「芋」は食用となる、まるい植物《いも》をあらわしました。

いまでこそ「芋」はイモ類全般を指すものとなっていますが、もとは特に《里芋》を指していたとされています。里芋は、中国にて紀元前から栽培されており、飢饉に対する重要な作物と認識されていました。日本に伝わったのも縄文時代と早く、その分人々に身近な作物だったといえるでしょう。つまり、芋といえば里芋、というイメージがあったのだと考えられます。

今日では、里芋の葉柄である「芋梗ずいき」や里芋の一種である「芋魁やつがしら」などに「芋」の字が見られます。これらは、「芋=里芋」の形で使われているため、「芋」がかつて里芋を指していたことがうかがえるものといえるでしょう。

《いも》の意味を使用した例

「芋虫」芋の葉をくう虫のこと。
「芋蔓式」物事が、連続して起こること。
「芋焼酎」芋を原料とした蒸留酒。
「薩摩芋」ヒルガオ科、蔓性の多年草。

 

 

「芋」の部首は「艹」

f:id:nao-yamamoto:20200217094327p:plain

「芋」の部首は「艹」。「艸・艹」は草や木など植物に関することをあらわす部首です。「芋」ではイモ類が〈植物〉であることをあらわすために使用されています。

 

参考資料

etc.

当ブログに記載されている内容は、辞書や文献、資料などに遵守し学術的な配慮を十分にしているものですが、万が一誤りがあった場合は早急にご連絡ください。 確認を取ったうえで速やかに訂正させていただきます。 宜しくお願い致します。

【意味・成り立ち】「真」はスプーンと容器をあらわした漢字!【小学生】

f:id:nao-yamamoto:20200214091606p:plain

シン・ま・まこと
10画 / 目部 / 会意
①まこと。うそや欠けがない。
②まことに。ほんとうの。じつに。
③本物やまったくをあらわす接頭辞。
④楷書のこと。「真書」

 

ここでは「真」の成り立ちと意味について見ていくよ。

部首「目」なんだ?

 

 

物事の容器に、真実を満たしましょう 

「真」はもとの漢字を「眞」と書きます。いま使われている形は、わかりやすく、簡略して直されたものです。そして「眞」は「さじ」と「かなえ」という2つの字から成り立っています。

「匕」は、いわゆるスプーンを描いた図形。これ一文字で「さじ」と読むほか、いまでも「さじ」の字に使用されていて、こちらもスプーンをあらわしています。

かなえ」とは、金属製の容器のことです。3本の長い脚と、2つの持ち手があるのが特徴的で、古来より鍋やお釜として用いられました。また、お祭りにも持ち出されており、とても使用する機会が多い道具だったようです。


f:id:nao-yamamoto:20200214091744j:plain

これら2つの漢字を組み合わせた「眞」は、スプーンで、容器に食物を満たしている様子を表現しています。この字に《まこと》や《ほんとうの》などの意味があるのは、容器に食物が満ちるように、物事に真実が満ちていることをあらわしているためです。すなわち、容器を物事に、食物を真実に見立てているのです。

これを受け、日本では「真」を《本物》や《まったく》の意味で使用することがあります。まったく(完全に)似ていることである「真似」、あるいは本物の名前である「真名」「真紅」などがその例。《まこと》の意味に似ていますが、日本独自の用法となっています。

《まこと》などの意味を使用した例

「真摯」嘘偽りなくひたむきなこと。
「真髄」物事の本当のところ。本質。
「真面目」嘘がなく実直なこと。

近い意味の漢字

「実」製作中
「誠」製作中

 

 

「真」の部首は「目」

f:id:nao-yamamoto:20200214092246p:plain

「真」の部首は「目」。「目」は目や視力をあらわす部首です。「真」の中間にあるのは厳密には「目」ではありませんが、形が全く同じなため、この部首に含まれています。

 

参考資料

etc.

当ブログに記載されている内容は、辞書や文献、資料などに遵守し学術的な配慮を十分にしているものですが、万が一誤りがあった場合は早急にご連絡ください。 確認を取ったうえで速やかに訂正させていただきます。 宜しくお願い致します。