【意味・成り立ち】「芝」はもともときのこだった?【漢字】

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シ・しば
6画 / 艸・艹部 / 会意形声
①霊芝。マンネンタケ。きのこの一種。
②しば。イネ科の多年草。
③道端にはえている雑草の総称。

 

ここでは「芝」の成り立ちと意味について見ていくよ。

霊芝…知らない…

 

 

「芝」の意味と成り立ち

「芝」はもともと、霊芝レイシというきのこをあらわす漢字として使用されていました。

霊芝とは、マンネンタケともいわれ、古代中国では食べれば不死身になれるとされた神草です。傘が非常に大きいのが特徴で、古来より漢方薬として使用されていました。大変希少なものであったことから、発見されると、瑞兆(いいことが起きる前触れ)の目印として扱われていたといいます。

霊芝
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そして「芝」は、この霊芝を意味する漢字としてつくられたのです。「芝」は「くさかんむり」と「之」という2つの漢字から成り立っています。「艹」は植物であることを示す記号です。「之」は、足先が進み出ている様子をあらわした漢字で、《ぐんぐん進む》というイメージをもっています。ここでは、植物の生長がぐんぐん進む、つまりぐんぐん伸びていることをあらわしています。これにより「芝」は傘がぐんぐんと伸びるきのこ《霊芝》をあらわしました。

現代の生物学上では、植物とキノコ類は別系統の生き物であるとされいます。しかし、かつては「きのこ」の字に「艹」がついているように、キノコ類も植物のひとつであると考えられていました。なので《霊芝》を意味する「芝」に、「艹」があってもなんら、不思議なことはありません。

《霊芝》の意味を使用した例

「芝英」霊芝の花。
「芝菌」ヒジリダケ。霊芝のこと。
「芝雲」めでたいことの目印となる雲。

今日では、「芝」は《しば》というイネ科の植物をあらわすために使用されますが、これは日本独自の用法です。おそらく、しばを意味する漢字がなかったために、「芝」の字がこれに当てられたものと考えられます。ために、日本では「芝生」や「芝草」のように、《しば》の意味のほうが主流となっています。むしろ《霊芝》の意味はほぼ知られていないといえるでしょう。

ちなみに「芝居」に「芝」の字が用いられているのは、かつて芝生がある広場で、よく演劇が行われていたことに由来するそうです。

しば(芝生)
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《しば》の意味を使用した例

「芝桜」しばのように地をはう桜。
「芝山」しばを植えこんだ築山。

近い意味の漢字

「柴」製作中

 

 

「芝」の部首は「艹」

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「芝」の部首は「艹」。「艸・艹」は草や木など植物に関することをあらわす部首です。「芝」ではキノコ類が〈植物〉であることをあらわすために使用されています。

 

参考資料

霊芝の歴史や栽培方法と煎じ方/霊芝の上薬研究所
霊芝 - Wikipedia

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